『第3期DPの終焉』
「BURN」の大成功の後に引き続き発表された第3期DPの最後のスタジオアルバムです。メンバーはリッチー・ブラックモア(ギター)、ジョン・ロード(オルガン)、イアン・ペイス(ドラム)、デヴィッド・カヴァーデイル(ボーカル)、グレン・ヒューズ(ベース)。ご存知のようにブラックモアはメンバーとの音楽観の相違から、このアルバムを最後に脱退してしまいます。
ジョン・ロードは当初、ジャズとクラシックとロックを融合した作品にしようと構想を温めていたそうですが、スティーヴィー・ワンダー好きのファンキー志向のグレン・ヒューズとマーヴィン・ゲイをリスペクトするというソウル音楽好きのデヴィッド・カヴァーデイルの若い2人の勢いに負けて、結果として「黒人音楽は好きだけどファンキー音楽は嫌い」という偏屈者・ブラックモアの脱退という事態を招いてしまいます。そんな背景を頭に入れながら、この作品を聴くと「確かにリッチー脱退も仕方ないか」と納得せざるを得ません。
賛否両論がどうしても多いこの作品ですが、それでも「嵐の使者」「嵐の女」という素晴らしい名曲を聴かせてくれます。個人的にはブラックな魅力が一杯の6曲目「You Can't Do It Right」もお気に入りです。あとは残念ながら「DPらしさ」という点では特筆できる曲が見当たらないのが口惜しいのですが、わずか30数分というミニアルバムのような作品の中に、わずか3曲でも「一生ものの名曲」を提供してくれるあたりはDPの底力を感じさせます。