『ひとつの到達点』
自己の限界と向合い、なおかつそれを客観的に見つめ、まるで、
”この人はもう、このアルバム以降、一切曲を創らないんじゃないか”とすら思わせるようなある意味”達観”した境地を感じさせる只ならぬ雰囲気を湛えたアルバムは、後にも先にもこの作品だけでしょう。(まあそれは杞憂に終わりましたが・・。)
私は、若年時から、日本のポップス、ロック問わずあまり耳に合うものが無く、敬遠してた
方(実は彼のこれ以前の作品も・・)なのですが、彼のこのアルバムだけは”別格”です。
彼の作品中ではとかく”地味”な存在として語られがちですが、”音楽”というものに”ポップ性”かつ”大衆性”を重視せず、”思想性”を求める方になら、本作の真価を見出せると思います。
がむしゃらに何かに打込んで来て、挙句にふと何もかも燃え尽きた”老人”になったような気分になるのは、”弱い”ことでも何でもなく、真摯に”理想”や”愛”に向き合って生きてきた者だけが知ることができる”境地”なのでしょう。
聴いて楽しいかは別として、彼の”内面の境地”を知っておきたい方には、本作をお勧めします。